家電量販店業界では顧客が店頭で商品を下見して、購入自体は価格の安い
「価格.com(kakaku.com)」や
「アマゾン(Amazon.co.jp)」や
「楽天(rakuten.co.jp)」などの通販サイトで行う「ショールーミング(showrooming)」対策に苦慮しています。
ヤマダ電機は「ショールーミング」を敵視し、店頭で価格面で対応できるよう取り組んできましたが、結果、利益が出なくなりました。
しかし、ヨドバシカメラは、「ショールーミング」さえも取り込んでしまおうとしています。店頭で下見をしてもらい、購入は「ヨドバシ.com(yodobashi.com)」でしてもらうのです。
ヨドバシカメラでは店頭のすべての商品にバーコードが付いており、スマートフォン(スマホ)からインターネット通販サイト「ヨドバシ.com」への誘導を行っています。「ヨドバシ.com」では店ごとの在庫状況から取り寄せに必要な時間まで表示されます。
店頭で商品を見てもらい、レジを通さず、その場で「ヨドバシ.com」上で購入してもらうのです。住所などの個人データを一度設定すれば、クリックだけで購入でき、レジに並ぶより簡単です。店頭で配送伝票に住所を記入する必要のありません。早ければ、その日のうちに商品が届きます。さらにクレジットカード「GOLD POINT CARD+(ゴールドポイントカード・プラス)」でクレジット払いすれば、ポイントも通常より多い11%付きます。
価格面では「価格.com」ほどは安価ではありませんが、ポイント分を含めれば、「アマゾン」の価格と同等です。
「価格.com」は確かに安いですが、規模の小さな店が多く、クレジットカードや個人情報の管理では不安が残りますので、価格を取るか信頼やサービスを取るかでしょう。
ヨドバシカメラとしてもネット通販で購入してもらうことで、店頭のレジ人員や店舗の在庫管理費の削減ができます。
ただ、今後、どんどん店頭から通販サイトに誘導してしまうと、店頭で購入する人が減ってしまいます。恐らく総合的にヨドバシカメラの売上が増えればよいという考えでしょうが、店舗側で現状の規模のお店を維持できる利益が出るでしょうか。
現状の店舗を維持できるよう経営資源の再配分を検討しなければなりませんね。
あと、従業員のモチベーションの維持にも気をつかわなければなりません。家電量販店は各店舗での競争となっています。ネット通販サイトも一つの店舗としてみたて、売上、利益率などで競争しています。
店舗の売り上げが、ネット通販サイトの売上となりますので、店舗の利益が減り、通販サイトの利益が増え、店舗ごとで競争し比較し切磋琢磨してきたものが、単純に比較できなくなります。
会社によっては店舗の利益状況によってボーナスの額も異なるところもあるでしょうから、従業員のモチベーションを下げないような工夫が必要です。
他社の戦略と異なり、「ショールーミング」さえも取り込んでしまおうとしているヨドバシカメラ。新しい取り組みなだけに、既存の考えにとらわれない柔軟な発想で従業員のモチベーションも維持し、売上、利益を伸ばしてほしいですね。
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2015年07月05日
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