三菱自動車と日産で共同開発し、日産が販売していた軽自動車の「デイズ」と「デイズルークス」の燃費不正が4月20日に明らかになって以降、日産の全国の販売店では2車種の販売を停止しました。
4月の日産の軽自動車販売は5574台と前年同月比51.2%減少。
軽自動車全体では前年同月比7.5%減で、三菱自動車も「eKワゴン」と「eKスペース」を販売停止し44.9%減らしていることから、対象車種の販売停止が大きく響きました。
危機的な状況の中、日産自動車と三菱自動車は、燃費データ不正問題の公表からひと月もたたないタイミングで資本業務提携を決めました。
5年前に軽自動車事業で手を結んで以降、両社は良好な関係を続けています。
不正発覚をきっかけに一気に資本提携にまで発展しました。
三菱自動車は昭和45(1970)年に三菱重工業の自動車部門が独立してできた自動車メーカーです。
歴代社長は三菱重工出身者が多く、平成12(2000)年に発覚したリコール隠しで経営が悪化した際には、三菱グループの主要企業から支援を受けました。
三菱自動車の益子修会長は三菱商事出身。
2016年3月期の連結売上高は2兆2678億円、純利益は890億円。従業員数は約3万人。
今回の燃費データ不正問題で窮地に陥った三菱自動車を、三菱グループは救済に消極的でした。
なぜなら、過去の経営危機では三菱グループの潤沢な資金で支援してきましたが、今回は三菱商事が資源安などで2015年度に創業以来、初の最終赤字に陥ったのをはじめ、三菱重工も豪華客船の建造の遅れなどで純利益が4割以上減少するなど、支援する余裕がないからです。
こうした中、三菱自動車は不正の原因究明を進める一方で、生き残り戦略を探りました。
益子修会長には、「1社で環境対応や自動運転に取り組むのは無理」との思いもあります。
最も近い存在は、すでに軽事業で提携している日産。
日産のカルロス・ゴーン社長兼最高経営責任者(CEO)とも親交があります。
もともとゴーン社長には、規模拡大への飽くなき野心があります。
世界の自動車大手ではトヨタ自動車グループなどの3強が注目を集め、販売世界3位の米ゼネラル・モーターズ(GM)と4位ルノー・日産連合の差は132万台。
5月初めごろには、107万台の三菱自動車について「ゴーン氏が欲しがっている」との情報が東京・霞が関に流れました。
トップの特命を受けた両社のわずかなメンバーは、大型連休を返上して提携戦略を練り、12日の提携発表にこぎ着けました。
益子会長は記者会見で「同じ自動車業界で、学べることは多い。提携を成功に導いた経験があることは心強い」と日産への期待を述べました。
ゴーン社長は「三菱ブランドは守る」と断言しています。
今回の日産自動車による三菱自動車救済は渡に船なわけですが、日産ゴーン社長のしたたかさも垣間見えます。
三菱グループ内には、日産が三菱自動車の株式の34%分を2370億円で買い取るという内容に「金額が低い」との声があり合意の遅れにつながりかねませんでしたが、スピード決着にこだわるゴーン社長の意をくんだ益子会長がグループを急いで回り了承を取り付けました。
ゴーン社長が結論を急いだ背景にあるのが三菱自動車の株価下落。
燃費不正で、問題発覚直前の半値近い価格まで値下がりし、経営を大きく左右できる3分の1超の株式を2000億円超で握ることができるからです。
不正で弱った三菱自動車をしたたかな交渉術で傘下に収める日産ゴーン社長。
部品の共同調達、両社がともに力を入れる電気自動車の技術開発の加速、三菱自動車が強く、日産が弱い東南アジア地域での協業などさまざまなシナジー効果が見込めます。
その豪腕で窮地の三菱自動車を再生に導けば、世界販売850万台強で世界4位の日産・ルノーグループを年間販売台数1000万台に導くのも夢ではなくなります。
「私どもは世界トップ3に入る実力がある」。
5月12日の決算会見でこう言い切ったゴーン社長が、三菱自動車との提携のその先に見据えるのは「世界ナンバーワン」の称号です。
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2016年05月14日
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