モスフードサービスは5月12日、2016年3月期決算を発表しました。
売上高は前年同期比7.2%増の711億1300万円、本業の儲けを示す営業利益が146.0%増の38億2400万円と好調です。
モスバーガーの成長を支えているのは、消費者ニーズに応えた商品の展開です。
モスフードサービス会長兼社長の櫻田厚(さくらだあつし)氏が直接、全国の消費者と対話し消費者のニーズを探る「タウンミーティング」を行うなど、消費者視点の商品開発を行っています。
タウンミーティングは2011年から始まり、2015年に47都道府県すべてで開催され、累計で約2000人の消費者との対話が行われました。
2015年5月より新「モスのモーニングバーガー」3品を投入し、朝食ニーズの掘り起こしを図りました。
「朝=モスバーガー」という認知を獲得する狙いです。
2015年10月下旬からは「ご当地メニュー」として「釧路ザンタレバーガー 甘酢たれ」「中津からあげバーガー レモン添え」を販売。
さらに2015年11月には、モスバーガーよりも高額路線となる「モスクラシック」を東京千駄ケ谷にオープン。
「モスクラシック テリヤキバーガー」(税込1100円)や「アボカドバーガー」(税込1150円)といった高品質で高価格のハンバーガーを上質な空間で愉しめるのが特長です。
2015年12月から2016年3月下旬までの限定販売で「とびきりハンバーグサンド 傑作ベーコン」「とびきりハンバーグサンド 傑作ベーコン スライスチーズ入り」を発売。
パティは通常より約1.5倍の重量を使用し、ベーコンは厳選されたイタリア産の豚肉を使用。
ちょっとした贅沢を味わいたいという需要に対応した商品です。
指定の時間で受け取りが可能な「モスのネット注文」も業績向上に大きく寄与。
会員数は約25万人。
「モスカード会員」であれば事前決済が可能となっており、利便性の向上を図っています。
地域によっては配送サービスも行っており、一人暮らしのお年寄りでも手軽に利用できます。
モスは多様化する消費者のニーズに臨機応変に対応しています。
こうした消費者のニーズに応えた商品やサービスの提供がモスの業績を支えています。
モスバーガーのハンバーガーは、注文を受けてから調理されており、手間と時間がかかります。
モスの商品の値段は競合のハンバーガー店と比較して高めの設定ですが、他店では食べられないハンバーガーを求めて多くの消費者がモスを訪れています。
櫻田会長の興味深い逸話があります。
1978年の出来事です。
当時、櫻田氏はモスバーガーの1号店の店長でした。
その1号店の向かいにマクドナルドが出店。
その頃のモスバーガーは、外食産業の中で無名でした。
世界のマクドナルドに勝てるはずがないと誰もが思っていました。
近くの商店街の人たちも「絶対モスバーガーが潰れると思っていた」と言っていたそうです。
しかし蓋を開けてみると、マクドナルドが開店した金曜日の売り上げは23万7000円で平日の新記録を更新し、翌土曜日は37万6000円、日曜日は約50万円にもなりました。
地域の消費者がモスを支持したのです。
規模は小さくとも、着実な経営を行うことで巨人マクドナルドすら払いのけてきたのがモスバーガーです。
当時から地域に密着した経営を行い、地域の消費者がモスに求めるものは何かを追求してきました。
地域住民と対話を重ね、関係性を強化し続けてきました。
モスバーガーの戦略は決して効率の良い経営ではありません。
しかし、効率重視では消費者に応えられないことがあるのも事実です。
櫻田氏は「私たちは創業以来、とにかく面倒なことばかりしてきました」と述べています。
モスバーガーは、消費者のニーズに応えた商品を開発してきました。
おいしい商品を開発するには、厳選された食材が必要です。
そのため、モスバーガーは1997年から国内の生産農家と協力体制を築いてきました。
2006年にはモスバーガーの契約生産者である「野菜くらぶ」と共同出資し「農業生産法人サングレイス」を設立し、生鮮野菜の安定供給を実現。
モスバーガーが扱う野菜は普通の野菜ではありません。
たとえば、モスバーガーの象徴的な野菜であるトマトは大きめで糖度や酸味のある「L型優良トマト」を使用。
しかし、L型優良トマトは夏場以降になると品薄になってしまいます。
季節によって品質が変わってしまうのは致命的です。
そこで、L型優良トマトの安定した調達を実現するためにサングレイスが設立されたのです。
モスバーガーと生産者が協力して、供給する野菜の品質向上に努めています。
現在、外食産業の市場規模は97年の29兆円をピークに右肩下がりの下降線をたどっています。
代わりに台頭しているのが中食産業です。
外食するのではなく、コンビニエンスストアなどで調理済みの食品を買って自宅で食べるという消費者のライフスタイルの志向が強まっています。
中食産業の市場規模は急拡大中。
特にコンビニの台頭は外食産業の大きな脅威となっています。
しかし、モスバーガーは、コンビニの脅威にも屈していません。
外食産業にできてコンビニにできないことを考えてきました。
櫻田氏は「手づくり感や新鮮さ、それから材料をカスタマイズするということが、コンビニには絶対にできないことなのだ。これが外食産業が生き残っていくひとつのパワーになる」と述べています。
モスバーガーは商品を開発するにあたり、並々ならぬ手間をかけています。
「タウンミーティング」による全国の2000名にものぼる消費者との対話もしかりです。
消費者が求める商品を提供することに努力を惜しみません。
こうした姿勢が創業から現在までブレることなく続けられてきたことが、現在の好業績を生み出していると言えるでしょう。
価格競争に陥ることなく、消費者が真に求める商品を提供する。
日本の家電メーカーや迷走しているユニクロも参考にしてほしいですね。
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2016年05月28日
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