パナソニックは2016年度からの事業方針で、2018年度に売上高を10兆円へ拡大する目標は取り下げる一方、2020年度に営業利益を2015年度計画比約1.5倍の6000億円に増やすことを表明しています。
世界経済の減速で経営環境が厳しさを増す中、規模拡大を目指すのは非現実的だと判断。
津賀一宏社長は「利益重視の経営に転換する」と述べています。
日本の電機業界はシャープや東芝など経営が厳しい企業も目立ちますが、一足早く復活したパナソニックは重点事業を絞り込み、より利益の出る体質づくりを目指します。
現在、売上高は伸び悩んでいます。
中国景気の減速や住宅市場の低迷などの影響で2015年度の売上高は前期比2%減の約7兆5500億円でした。
純利益については前期比8%増の1932億円。
合理化などの構造改革を進めた効果が出て、増益を確保しましたが、パナソニックの津賀社長は「環境変化への対応力に課題があった」と反省の弁を述べています。
その上で、テレビ事業の分社やパソコン事業の売却など大胆な取捨選択を進め、業績の回復につなげたソニーを引き合いに「多くの学びをさせてもらった。私たちも負けずに改革していきたい」と話しています。
当初10兆円の売上高目標は、経営の悪化を受けたリストラが一段落した約2年前、津賀社長が「すべての事業で、すべての従業員が成長を考えるための強いメッセージが必要」と考えて発信しました。
今後はむやみな規模の拡大ではなく、利益の追求を最優先にします。
2015年度の営業利益は約4100億円。これを2018年度に5000億円、2020年度には6000億円へ増やす計画。
実現のために全社の事業を「高成長」「安定成長」「収益改善」の3領域に再構成して経営戦略を見直します。
「高成長」事業は自動車の情報関連やリチウムイオン電池、食品流通分野、アジア向けの白物家電など。
これらに経営資源を集中させて、積極的なM&A(合併・買収)を実施します。
「安定成長」事業は国内向けの白物家電などで、M&Aに頼らず着実な収益の確保を目指します。
「収益改善」事業はIT(情報技術)系やデジタルAV関連といった収益環境が厳しい分野。
販売台数など規模を追わず、効率化によって利益率を高めます。
今後は、津賀社長が「成長軌道に乗りつつある」と評価する「家電、住宅、車載」事業と、「企業向け」事業の大きく2部門に分けて収益目標を設定。
「家電、住宅、車載」事業では2018年度の営業利益を3000億円、「企業向け」事業が2000億円としています。
2020年度以降は、「家電、住宅、車載」事業が営業利益3000億円以上で売上高に占める利益率"5%"以上、「企業向け」事業は同3000億円、同"10%"を目指します。
また、2018年度までに1兆円の戦略投資を実行する目標は維持。
「家電、住宅」事業では、新興国市場攻略に向けた製品や販売基盤などを強化、「車載」事業では先進運転支援システム(ADAS)や車載電池事業を拡大。
「企業向け」で事業は昨年末に米国の業務用冷凍冷蔵ショーケースメーカーの買収を発表しており、食品流通、航空分野に続く新たな事業の柱の構築を目指します。
構造改革を進めていますが、津賀社長は「まだ勝つためのビジネスモデルが十分にできていない」としています。
パナソニックは今の立ち位置でも大手電機メーカーの中では良いポジションにいるかと思いますが、構造改革を成功させ、かつてのような圧倒的な存在となってほしいです。
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2016年06月12日
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